台湾のTBMC社とシミックバイオ、CHO-C細胞の抗体製造技術や新規モダリティ技術の拡充に向けた覚書を締結

INFO

Taiwan Bio-Manufacturing Corporation(本社:台湾台北、CEO:David Chang、以下:TBMC 社)と、シミックホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 CEO 中村 和男)のグループ会社であるシミックバイオ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 佐野 倫、以下:CBI)は、TBMC社が独自で保有するCHO-C細胞※1を用いる抗体製造技術および新規モダリティ技術※2の日本国内でのマーケティングおよびカスタマーサービスを目的とした覚書を締結しました。

※1 抗体医薬品等の製造に広く使用される CHO(Chinese Hamster Ovary)細胞で、TBMC 社が独自で保有する細胞株
※2 mRNA 医薬品、ウイルスベクター、細胞治療等のまだ一般的でない医薬品の製造基盤技術

本覚書の目的と背景

日本の製薬企業やアカデミアにおいて、設備や技術の制約は大きなハードルの一つです。試験等に必要な環境が自社で整備されていない場合、外部の施設を利用するほか、資金面等で困難な場合には自社での開発製造を断念するケースも少なくありません。このような課題に対しCBIは、TBMC社の「HD CHO-C kit」や抗体製造技術、新規モダリティ技術を活用し、バイオ医薬品の開発製造を包括的に支援いたします。CBIは、バイオ医薬品の開発製造および関連分野のニーズを捉え、社外との提携などを通じ、さらに幅広い顧客ニーズへの対応を目指します。

CBIが提供するサービスについて

本覚書にもとづき、CBIは日本国内において下記 3 つのサービスを提供いたします。

■「HD CHO-C kit」の販売
TBMC社が提供する「HD CHO-C kit」は、CHO-C細胞へ目的遺伝子を導入するにあたり必要な品目(クローニングベクター、フィード、培地、エンハンサー、遺伝子導入プロトコール)とCHO-C細胞が含まれる試験キットです。本キットにより、自社試験施設など設備や技術が限られた環境においても遺伝子導入が可能となります。

■CHO-C細胞を用いたプロセス開発およびバッチ製造の受託
お客さまのご要望にもとづきCHO-C組み換え細胞の構築や、抗体製造のための培養・精製条件の検討を実施し、プロセス開発を支援いたします。またスケールアップにも対応し、抗体の試製から治験薬の製造まで幅広い範囲での支援を提供いたします。

■新規モダリティ技術のコンサルティング
TBMC社の持つ技術を利用した技術開発、製造委託に関するお客さまからのご相談を承ります。

会社概要

■シミックバイオ株式会社(CBI)
シミックバイオ株式会社は、静岡県に動物細胞用にGMP対応したシングルユース設備を保有し、2020年10月よりバイオ原薬のプロセス開発および製造受託支援サービスを提供しております。国内にて初期プロセス開発から原薬製造、そして製剤化までお客様とのコミュニケーションを大切にし、一貫した伴走型サービス支援を提供いたします。 詳しくはウェブサイトをご覧ください。
https://www.cmicgroup.com/corporate/group/cmic-bio

■Taiwan Bio-Manufacturing Corporation(TBMC社)
TBMC社は、Department Center for Biotechnology(DCB)およびIndustrial Technology Research Institute(ITRI)の連携により2023年5月に設立されました。TBMCは、バイオマニュファクチャリング能力の向上を目指し、技術に特化したバイオマニュファクチャリング企業であるNational Resilience, Inc.(レジリエンス社)と提携しています。レジリエンス社の専門知識と台湾のスマート製造能力を組み合わせることで、TBMCは、(i)mRNA医薬品、(ii)ウイルスベクター、(iii)細胞治療、(iv)CHO-Cタンパク質医薬品プラットフォームを含む複雑な医薬品の製造のための最先端のソリューションの開発に専念しています。
TBMCは2つの主要製造拠点で事業を展開しています。2つのプロセス分析開発研究所(PADラボ、1,820㎡)は、台北バイオイノベーションパークと新竹バイオメディカルサイエンスパークにあります。いずれも稼動準備が整っており、それぞれ2024年6月と2024年12月までに新しい施設で業務を拡大する予定です。一方、GMP工場(15,000㎡)は新竹バイオメディカルサイエンスパークに設置され、2025年第3四半期までにGMP製造の準備が整う予定です。 詳しくはウェブサイトをご覧ください。
https://tbmcbio.com//

■シミックグループについて
シミック(CMIC)は、1992年に日本で初めてCRO(医薬品開発支援)事業を開始し、今では開発から製造、営業・マーケティングまでの医薬品に関する総合的な支援業務を提供しています。製薬・バイオテクノロジー・医療機器等の海外企業の日本市場参入や、アジアでの臨床試験実施、米国と日本における医薬品開発および製造のサポートなども展開しています。 また、シミックは個人や自治体を支援する新しいヘルスケアソリューションを提供しており、製薬企業のバリューチェーンを全面的に支援する豊富な経験と実績を基盤として、“個々人の健康価値を最大化”する事業モデルPHVC(”Personal Health Value Creator”)の展開を目指しています。シミックグループは、世界中に7,500人を超える従業員とグループ会社28社を擁しています。 詳しくはウェブサイトをご覧ください。
https://www.cmicgroup.com

◇ご参考(TBMC社のサービス詳細)

①mRNA医薬品:
先進的なワンステップ合成技術を用いた、研究から臨床段階までの一貫したmRNA製造サービスを提供しています。
・Pad Lab(研究および臨床前段階向けサービス):高品質なプラスミドDNA製造、mRNA配列最適化、mRNA IVT1)、およびmRNA-LNP2)パッケージングサービスの提供。(スケール|1mL~5L(mgから10 gまで)
・GMP Plant(臨床および商用向けサービス):高品質なプラスミドDNA製造、mRNA配列最適化、mRNA IVT、mRNA-LNPパッケージング、およびDP3)充填サービスの提供。

②ウイルスベクター:
レンチウイルスベクターまたはアデノ関連ウイルスベクターの製造について、業務開始から終了まで一貫したサービスを提供しています。
・Pad Lab(研究および臨床前段階向けサービス):ウイルス懸濁液の細胞培養プロセス開発、ウイルスベクターの製造および精製サービスを提供。(スケール|250mL~5L)
・GMP Plant(臨床および商用向けサービス):ウイルスベクターの製造、精製、およびDP充填サービスを提供。

③細胞治療:
MSC4)とがん免疫療法の細胞療法薬の大量生産のための自動化プラットフォームの開発を行っています。また、IRB5)の計画と作成、プロセス開発、分析法の確立、機能検証、CMC(化学、製造、管理)文書の作成、さらには臨床試験設計など、包括的なワンストップサービスも提供しています。
・Pad Lab(研究および臨床前段階向けサービス):MSCとがん免疫療法細胞の製造サービスを提供。(スケール|10-50回分/バッチ)
・GMP Plant(臨床および商用向けサービス):MSCとがん免疫療法細胞の製造サービスを提供。

④CHO-Cタンパク質医薬品プラットフォーム:
研究からマーケティング段階までの一貫したタンパク質製造サービスを提供することを目的として、独自のCHO-Cプラットフォームを開発しています。
・Pad Lab(研究および臨床前段階のためのサービス):迅速なタンパク質の製造と精製、細胞株の開発、およびプロセス開発サービスの提供。(スケール|30mLから50L(使い捨てまたは一回限りのバイオリアクター))
・GMP Plant(臨床および商用向けのサービス):MCB調整、タンパク質製造、品質分析、およびDP充填 さらに、最新の技術であるラマン分光法や自動細胞培養システムを活用し、TBMC社は高品質なバイオロジック医薬品を提供する、アジア初のPharma 4.0 CDMOを目指しています。

1) in vitro transcription
2) Lipid Nanoparticle:脂質を主成分とする直径10nmから1000nm程度の粒子で非ウイルス性の薬物送達システム(DDS)として利用されている。
3) Drug Product
4) Mesenchymal Stem Cell(間葉系幹細胞)
5) Institutional Review Board:治験審査委員会。治験が実施される前に安全性・有効性および倫理性を審査する役割を持つ。