第21回日本エイズ学会学会賞「シミック賞」受賞式

EVENT REPORT

2024年11月28日から30日までの3日間、新宿京王プラザで開催された『第38回日本エイズ学会学術集会・総会』にて、11月29日に第21回日本エイズ学会学会賞「シミック賞」の受賞式が執り行われました。

参照:
第38回日本エイズ学会学術集会・総会 公式サイト

日本エイズ学会の最高栄誉賞「シミック賞」

日本エイズ学会学会賞「シミック賞」は、HIV-1感染症とAIDSに関する臨床経験や科学的実績、地域・コミュニティへの貢献、学会運営への貢献などにおいて功績を残した方を顕彰することを目的とした日本エイズ学会の最高の栄誉賞です。
第21回日本エイズ学会学会賞(シミック賞)は、京都大学医学研究科 教授 高折 晃史先生が受賞されました。

受 賞 者:京都大学医学研究科 教授 高折 晃史先生
業績の題目:「HIV Vif/APOBEC3 相互機能、HIV-1 潜伏感染機構の解明」

エイズの治療や研究、患者さんの支援、社会還元と貢献を趣旨に設立された「シミック賞」

日本エイズ学会学会賞「シミック賞」は、シミックがHRD共同調査(HIV治療薬および関連疾患治療薬の安全性と有効性を評価するための調査)を受託している事からCROとしてエイズの治療や研究に携わる医師や研究者、患者さんの支援、社会還元と貢献を趣旨に日本エイズ学会理事長にご相談し、2004年に日本エイズ学会の最高栄誉賞として設立されました。

HRD共同調査の役割
HRD共同調査は、医療機関で既に使用されているHIV感染症治療薬およびHIV関連疾患治療薬の安全性と有効性を調査しており、HIV Related Drugsの頭文字をとって「HRD共同調査」と名付けられています。通常、医薬品の製造販売後調査は会社単位・薬剤単位で行われますが、HIV感染症の治療には複数の薬剤が併用されるため、HRD参加会社が共同で製造販売後調査をすることにより、効率的に情報を集約することが可能な調査となっています。従来なかった調査方式になるため、厚生省(現 厚生労働省)からの指示のもと、調査業務はシミックに委託されています。HRD共同調査は、治療薬の安全性と有効性を確立するための重要なデータの収集・解析をしており、HIV治療の進展に大きく貢献しています。

HRD共同調査は1997年8月に開始されましたが、その前年に薬害エイズ事件※が和解となっています。和解成立後、1997年4月にエイズ治療・研究開発センター(ACC)が開設、エイズ治療の地方ブロック拠点病院の整備について(通知)が発出され、エイズ治療の体制が強化されました。

※薬害エイズ事件
1982年から1985年にかけて、厚生省が承認した非加熱血液製剤にHIVが混入し、使用した血友病患者の約4割、1400人以上がHIVに感染してしまいました。さらに、患者に告知しなかったため、妻や子供への二次・三次感染も引き起こしてしまいました。1989年、東京・大阪HIV訴訟原告団と弁護団は、東京と大阪の地方裁判所に旧厚生省と製薬企業5社に対し被害の責任を問い提訴し、1996年3月29日に和解が成立しました。

参照:
エイズ学会学会賞(シミック賞)歴代受賞者

感染症の予防や治療法の確立を支援

人類は古くから感染症の脅威にさらされてきました。例えば、天然痘は紀元前から死に至る病として恐れられ、エジプトのミイラにも感染の痕跡が見られます。しかし、18世紀にワクチンが開発され、計画的な接種が行われた結果、1980年にWHOは天然痘の世界根絶を宣言しました。
かつて謎の死の病と恐れられていたエイズも、早期発見と治療薬の進展により、HIV感染者の寿命は大幅に延び、健常者と変わらない生活を送れるようになりました。しかし、完治には至っていません。
HIVや新型コロナウイルスなどの新興感染症、結核やマラリアなどの再興感染症、薬剤耐性菌など、ワクチンや医薬品の開発が進んだ現在でも、感染症は人類の脅威であり続けています。
シミックは、エイズの終結に向けた取り組みを支援するとともに、あらゆる感染症の予防や治療法の確立を支援してまいります。

参照:
シミックの製造販売後調査
参照:
臨床から製造販売後までの臨床試験に関わる全ての業務を支援