「日本臨床試験学会 第17回学術集会総会」ランチョンセミナーを開催しました

シミックは、2026年2月20日(金)、神戸国際会議場で開催された「日本臨床試験学会 第17回学術集会総会」にて、ランチョンセミナー 「デジタルバイオマーカーが拓く臨床試験の未来」を開催いたしました。その一部をご紹介します。

参照:
日本臨床試験学会 第17回学術集会総会

患者さんの「日常」を評価に取り込む——デジタルバイオマーカーがもたらす臨床試験の進化

デジタルバイオマーカー(dBM)は、ウェアラブルデバイスやスマートフォンなどを用いて取得される睡眠や身体活動といった日常生活データを、臨床試験の評価に活用する取り組みです。従来の患者さんの来院時に限定された「点」の評価から、生活の文脈を反映した「線/面」の評価へと臨床試験をアップデートする可能性が示されています。
特に認知症・パーキンソン病・うつ病などのCNS(中枢神経)領域との親和性が高く、患者さんの生活や症状の変化をより細やかに捉えられることから、患者さんの声を反映した試験計画の作成や、一人ひとりに合わせた個別化医療の推進につながる点でも期待されています。

本セミナーには約200名 の方にご参加いただき、会場は最後まで活気に満ちた雰囲気の中で、短時間ながらも内容の濃いセッションとなりました。ご参加いただいた皆さまに心より御礼申し上げます。

「デジタルバイオマーカーが拓く臨床試験の未来」

座長:三友 周太(シミックホールディングス株式会社 Consulting and Navigation Unit)

演者1:松山 琴音 先生(国立成育医療研究センター 臨床研究センター長)
演題:デジタルバイオマーカーの定義・価値、規制動向

ウェアラブルデバイスなどから取得される連続データを用いて患者の状態を客観的に評価するデジタルバイオマーカーの定義や特徴を解説。患者の日常を反映したデータ活用の価値と、FDA・EMAを中心とした規制動向について紹介いただきました。

演者2:小居 秀紀 先生(杏林大学医学部付属病院 臨床研究センター 副センター長/企画・情報管理解析部 部長)
演題:デジタルバイオマーカーの活用に向けた取組みと課題 〜精神疾患レジストリに関連する議論を中心に〜
精神疾患領域におけるレジストリ構築の取り組みを紹介。臨床情報やePROに加え、ウェアラブルデバイスによる心拍数や睡眠などの連続データを収集し、デジタルバイオマーカーの臨床的有用性やRWD活用の可能性について解説いただきました。

演者3:湊 和修 先生(株式会社テックドクター 代表取締役)
演題:デジタルバイオマーカーの活用意義と最近の動向 〜海外の活用事例を交えて〜

海外におけるデジタルバイオマーカー活用の最新動向を紹介。DMDにおける歩行速度指標などの事例を交えながら、研究開発や社会実装の進展とともに、標準化や規制整備など今後の課題について解説いただきました。

標準化がカギ——dBMを主要評価項目にするために必要なこと

後半のディスカッションでは、臨床試験におけるdBM活用について、試験実施時のオペレーション、評価項目として導入するためのポイント、データ解析方法と利活用、臨床試験へのインパクトなどの観点から議論が行われました。会場投票の結果、特に関心が高かったテーマは「dBMを評価項目として導入するためのポイント(標準化)」でした。
議論では、デバイス間の差異をどのように扱うか、欠測データをどのように整理して規制要件を満たすかなど、dBMを主要評価項目として活用するうえでの実務的な課題が共有され、標準化の重要性が改めて確認されました。
参加者アンケートでは、94.4%の方が「満足以上」と回答されました。参加理由としては海外事例や最新動向への関心が特に高く、dBMの活用状況については「すでに活用している」が15%、「検討中」および「今後検討」が合計で約6割を占めるなど、実装フェーズに向けた関心の高さがうかがえました。

確かなエビデンスを、より良い医療につなげるために

本セミナーでは、デジタルバイオマーカーをめぐる最新動向に加え、実際に臨床試験へ取り入れる際に直面する課題や、その乗り越え方について、実務に即した議論が交わされました。
シミックは、専門家との対話を重ねながら、これからの医薬品開発を支える臨床試験のあり方を、ともに創り上げていきます。 テクノロジーの進化を患者さんの「日常」や「声」につなげる橋渡し役として、今後も医薬品開発に貢献してまいります。

参照:
Decentralized Clinical Trials (DCT)・ eソリューション